Salesforceプロジェクトの注意点④取引先の定義

2020年10月現在で私のSalesforceの導入経験が10年で約100社の実績があります。



上手くいったプロジェクトばかりではなく失敗も沢山あります。


失敗例を残すことでうちの従業員含む社内外の人の参考になれればという思いで書いています。



今日は4回目で取引先の要件定義について注意することを記載します。


取引先要件定義の方法



まずはじめにこのブログでSalesforce案件の要件定義とは従来のSIのように機能詳細や画面、データベースの構造を決めることではなく、すでに用意されている機能や画面をどのように使うかを決めることだと書いてきました。



そうすると取引先の定義とは取引先画面の追加項目を決めて、誰がいつ入力、更新するのかを決めるという作業になります。



取引先を定義をするにはお客様から現在の得意先データを提示してもらいその資料と同じ項目をSalesforceに追加し、その後お客様に確認してもらうことえ作業は完了と思いがちですが、これで完了と思ってしまうと落とし穴にはまることがあります。


決めないといけないのはレコード単位



管理項目も画面、運用ルールも決めないといけないことですが、もっとも重要なのは取引先のレコード単位を企業毎にするか、事業所ごとにするかということです。



これを決めるには、現状システムでの得意先作成単位はどっちで作成されいてるかを確認することです。



例えば、現状の基幹システムで請求書のみ発行されている会社の場合はレコード単位が企業単位であることが多いですし、出荷伝票も作成されいてる場合は出荷先、つまり事業所別に得意先が存在します。



また明確なルールがない企業も多く、請求先も出荷祭もどちらもバラバラに作成されていることもあります。



ではSalesforceの取引先レコード作成単位は既存の基幹システムを踏襲するべきでしょうか?



答えはNOです


Salesforceの導入目的は商談管理です。ですので商談が発生する先を取引先とする運用にするのが望ましいと思います。



例えば顧客の本社から発生するのであれば取引先のレコード単位は企業ごととなり企業毎にしか商談作成しないのに納品先がデータとして多数存在すると商談作成者は取引先を選択できなくなります。



基幹システムのデータに合わせてSalesforceにそのままデータを移行していまうとこのようなケースが発生してしまうのです。



「営業マンから商談を作成できない」と言われたら納品物としてはおしまいです!



データ連携時に特に注意



基幹システムの売上実績をSalesforceに定期的に取り込みたいという要件がある時は特に注意が必要です。



基幹システムの売上実績をデータで投入するには基幹の得意先データが入ってる必要があります。



基幹の得意先と商談の引き合い先が同じであれば問題ありませんが違う場合だと大きな問題になります。



具体的には、基幹システムの売上実績データは請求先に紐づいて保存され、商談は納品先ごとに紐づいて保存されることになります



これは商談(見込み売上)と売上実績が同じ取引先画面から見えないということです。



売上実績を投入する目的は提案をしに行った時に売上も見ながら商談できるようにするためだと思いますが、これができないのであれば一体なんのためにデータを投入することにしたのかその目的すら果たせなくなってしまいます。



また最近Sansanが提供している名刺を撮影してSalesforceの取引先と取引先責任者に取り込む無料アプリScantoSalesforceを利用する時も同様の注意が必要です。


https://appexchangejp.salesforce.com/appxListingDetail?listingId=a0N3A00000G0yJkUAJ



名刺をスキャンするので取引先は企業ごとに作成されます。



取り込み先であるSaleforceの取引先が、事業所単位で作成されていればスキャンした名刺を事業所ごとに紐付けし直す必要があります。



これも本稼動前に営業マンに紐付けがあることを伝えておかないと本稼動後に使えないというご意見をいただくことになります。



今回のテーマ、取引先のレコード作成単位は運用ルールの問題だと思いますが、本稼動前にお客様に理解していただく必要があります。



本稼動後に初めてわかったということになるとリカバリーがものすごい大変となり、本当におしまいDeth!



この点注意しでベンダーも顧客も両者ともハッピーになってほしいですね。


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